本文

三重県菰野町を代表する秋のスポーツイベントとして、全国のランナーから愛された「鈴鹿山麓かもしかハーフマラソン」。
惜しまれつつもその歴史に幕を下ろすこととなった本大会の軌跡と、ランナーを魅了してやまなかった数々の魅力について振り返ります。
本大会は、平成18年(2006年)10月29日、菰野町の合併50周年を記念する事業として産声を上げました。それまで体育関係者のみで開催していた町民マラソン大会を、観光・商工・地域・学校が一体となった "町おこしスポーツイベント" へと大きく発展させたものです。
参加者の急増:第1回大会の約2,700名から年々増加し、最盛期には6,000名を超えるランナーが全国から集結しました。
全国的な高評価:その素晴らしい運営と熱気から、ランナーズ誌が選ぶ「全国ランニング大会100選」に選出され続け、超人気大会へと成長しました。

菰野町役場をスタート・ゴール地点とし、鈴鹿山脈の主峰「御在所岳」に向かって走るコースは、まさに絶景の連続でした。
黄金色に輝く田園風景や、色づき始めた紅葉を楽しみながら走ることができる風光明媚なルートは、多くのランナーの心を癒やしました。
このコース最大の魅力であり、ランナーを震え上がらせたのが、コース中盤(8km〜11km付近)に待ち受ける「激坂」です。ちまたでは、「かもしか坂」との名前も。
「ウルトラマラソンを思い出すほどの厳しさ」
「高低図で見るより圧倒的にきつい」
約2kmにわたって続く急な上り坂は、口コミで語り継がれるほどの難所でした。しかし、この激坂を登り切った後の達成感と爽快な下り坂が、多くのリピーターを生む理由の一つとなっていました。

かもしかハーフマラソンが高く評価された最大の理由は、町を挙げての温かい「おもてなし」にあります。
地元住民の皆さんによる熱心な応援、僧兵太鼓の力強い演奏、土方の山車保存会によるエールなど、町民が一体となってランナーの背中を押しました。
参加賞には、菰野町の伝統産業である「こもの萬古焼(ばんこやき)」のオリジナルカップなどが用意され、「毎年集めるのが楽しみ」というランナーも多数いました。
参加者には「湯の山温泉入浴割引券」や「御在所ロープウエイ乗車割引券」が配布され、過酷な激坂で疲れた体を名湯で癒やすという、菰野町ならではの極上のアフターランが提供されていました。

15回にわたり菰野町の秋を彩ってきた本大会ですが、2025年1月、正式に大会の終了が発表されました。
交通事情の変化:新名神高速道路・菰野インターチェンジの開通に伴う周辺交通量の増加により、ランナーの安全確保が難しくなったこと。
全国的な環境の変化:全国的なマラソン大会の参加者減少傾向。
会場周辺の環境変化:会場となっていた菰野町役場周辺の再開発。
大会は終了となりますが、かもしかハーフマラソンが培ってきた「自然を愛し、町全体でおもてなしをする」という精神は決して消えません。
現在、菰野町が誇る鈴鹿山脈の豊かな自然をさらにダイレクトに体感できるトレイルランニング大会「こものフォー・ピークス・トレイル」の開催に向けた準備が進められています。菰野町70周年記念事業としてのスタートを目指し、新たなスポーツ文化の創造へとバトンが引き継がれようとしています。
全国のランナーに愛され、菰野町にたくさんの笑顔と感動をもたらしてくれた「鈴鹿山麓かもしかハーフマラソン」。
関係者の皆様、ボランティアの皆様、そして沿道で声援を送り続けた町民の皆様、15回にわたる素晴らしい大会を本当にありがとうございました。
